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 筋診断法について

筋診断協会 会長 河野哲士

健康不安の時代 − 環境の変化やからだのバランス能力が低下
 今や我が国ではほとんどの人が健康不安にさいなまれています。「癌の早期発見」のかけ声も、ある意味ではこの不安をより増大させる結果となっているのではないでしょうか、これから先もっともっと弱くなっていくのではないでしょうか、そんな不吉な予感もします。
河野哲士会長  例えばアレルギー。毎年春先になると多くの人を悩ませる杉花粉症がその典型といえますが、第一号患者の発生報告は、1963年、今から約三十年前、栃木県日光市の診療所からでした。日光には有名な杉並木があります。花粉の量も大変なものでしょう。しかし1963年まで、花粉症の患者は存在しなかったのです。私も子供の頃、近くの神社などで杉の花粉がまるで土砂降りの雨のように流れ落ちる光景を見ています。おそらくはそれは日本中のどんな農村でもみられるありふれた光景だったでしょう。それほど花粉を浴びながら、誰も花粉症に悩まされていませんでした。それが今や毎朝テレビ、ラジオで「杉花粉症情報」が報道されます。「国民病」に「成長」してしまったのです。花粉症だけではありません。アトピーに、喘息に悩む人も飛躍的な増大を見せています。食物アレルギーでは、大豆がよく知られていますが、麦や卵、ミルクと拡がり出るほど深刻ですし、最近では米も出始めている、といいます。
 様々な原因が考えられると思います。環境の変化は確かに重要です。大気汚染やオゾン層の破壊により空気中の成分も大きく変化してしまいました。食習慣や食べ物そのものの変化も、もっともっと深刻に考えなければなりません。いずれにしても、アレルギーの「受難」はまだまだ当分の間続くことになるでしょう。
 アレルギーとは生体の一種の防衛反応であり、この反応が過敏に働いて生体に傷害を与えるものです。ですから環境や様々の変化に適応できる能力が増大すれば当然アレルギー反応は出にくくなります。したがって人類は何世代かをかけて適応能力を拡大しアレルギーを克服しているという可能性もあります。逆にもっとゆがんでしまう可能性も否定できませんが。
 免疫医学の急速な発展により、「免疫」についての概念は大きく広げられてきました。私たちは実は免疫能力の範囲内でしか生きていくことはできない。このことを全く逆の方向から裏付けているのがエイズという病気です。
 弱くなった日本人とは、アレルギー反応に悩まされている日本人とは、だから免疫力が低下した民族ということになります。(別に日本人に限定する必要はありませんし、実際これは、世界規模の、特に文明国に共通したものなのですが、とりあえず私の目の届く範囲で、ということでこういう表現をとらせていただきます)。この免疫力広く言えばホメオスターシスということになりますが、これを危うくするすべての原因を、中国伝統医学では「邪」と呼びます。「邪」には様々な種類があり、熱邪や寒邪、風邪といった外部からホメオスターシスをおびやかすものから、体内で多種多様な方向からバランスを乱す病邪まで、私たちの生命は常に「邪気」にさらされ、それをその都度克服しながら動態バランスを保ち続けています。この動態バランスの能力を、低下していれば調整し、正常ならばさらにそのレベルを上げていく−これが中国医学の基本的な考え方です。その意味で中国医学とはバランスの医学、気の医学と呼ぶことができるでしょう。

心身のバランスをととのえる経絡治療 − 経絡と筋肉の関係
 私たちの携わっている「筋診断経絡治療」とは、こうした中国医学の基本発想をベースに主にアメリカで発達したキネシオロジー(筋肉医学)の成果を取り入れ、独自の技法によって体系化された全く新しい東洋医学です。経絡つまり、身体内部におけるエネルギーの流れのルートと筋肉の間にある相関関係に着目し、心身の異常が経絡の異常として現れ、それが筋肉の異常緊張(凝り)として発現する事実をベースに、色(色紙や色つきのひもなど)を用いて働きかけ、全身の経絡、筋肉、内臓、そして心のバランスに至るまで調整していこうという治療法です。
 ここでまず「筋肉」についての私たちの考え方を説明しておきたいと思います。どこにも凝りがなく、からだが思い通りに動かせる、この場合には経絡も正常、内臓も健康と言うことになります。健康なバランスのとれた状態にあって不快な筋肉痛はあり得ません。もちろん過度の運動をした結果筋肉痛が起こった、これは全く正常なことで、経絡異常とは考えません。しかしこの場合でも本来の筋肉痛以上の凝りが起こることがあります。筋肉痛が異常に長引くこともあります。こういう中に経絡異常が潜んでいる可能性も否定できません。また過度の運動をした覚えが全くないのに体がこわばり、不快な筋肉痛や凝りを訴える人も多いものです。首や背中の痛み、下肢の突っ張りやこわばりは誰しも経験のあるところではないでしょうか。こうした現象は私たちの見方からすれば明らかに経絡の異常です。そして私たちの技法を用いた経絡治療により解消することが可能な痛みであり、凝りなのです。したがって肩こりや背中の痛み、腕や脚の動きのつかえなどもその局部に限定してとらえるのではなく経絡の異常、更には内臓機能(ときには器質)の異常とつながりで考えるべきであり、その調整がなされたときはじめて痛みという“現象”に対する本質的な対策が施されたことになるのです。私たちの技法と体系はまさにこのことを目指し、それが一般の方々にも十分可能であること、各家庭で十分実現できるものであることを伝えようとしています。私は東京筋診断協会会長として日々の治療院での治療に当たるとともに、一般の方々に大きく開かれた経絡治療の道を示していきたいと心を決めております。

筋診断法の治療 − ツボが色を感じ、からだのバランスがととのう
 さてここで「色」について語っておかなければなりません。これがこれから私がお伝えしようとする技法の核心をなすものだからです。その前に私の治療院における治療風景を簡単に描写しておきましょう。
 まず患者さんは治療用ベットに仰向けに横たわります。最初は腹診といってお臍を中心におなかの状態を観察します。おなかには腹診点という、私たちが独自に定めた観察のポイントがあります。次に診断筋といって、経絡と関連した筋肉の状態をみます。ここまででどの経絡に異常があるかが大体つかめます。筋診断経絡治療の特徴が発揮されるのはこれからで、「主経」といってその患者さんにとって支配的な、つまり最も重要な経絡を探し出していきます。私たちが「診断器」と呼んでいる磁石を内蔵した棒を腹診点に次々にあてていき、すべての筋肉異常が消失するポイントを見つけ出すのです。これで主経が決定されたら手足にあるツボ治療点に診断器をあて、筋診、腹診点それぞれの異常感が消失しているかどうかを確かめます。そして最後にこの治療点にその経絡に対応した色テープを貼って治療は完了です。私は患者さんにしばらくそのまま寝ていてもらい、再チェックしてから帰っていただくようにしています。
 この治療点に色テープを貼り付ける、という技法が、経絡治療の専門家からみても特異なところで、「針も立てないで本当に効くのだろうか」と首をかしげられるのもしばしばです。しかしこの色テープの貼付は針を立てるのと同等の、あえて言えばそれ以上の効果を上げることができます。しかもこの治療法によれば一点か二点、どんなに多くても三点の治療穴に貼付するだけで、内臓も含めた全身の調整が可能なのです。なぜそんなことが可能なのか。そのすべてを今解き明かすことはできませんが、「皮膚は色を識別する」、つまり皮膚には視覚があるという仮説の上に立って私たちはこの方法を駆使しています。実際その経絡に対応した色でなければ望ましい変化は起こりません。正確なツボに正確な色があたったとき、その場で全身がガラッと変化します。筋肉の凝りがとれ、呼吸が楽に深くなり、体が軽くなって気分がすっきりする。明らかに色が「効いている」のです。それも全身規模で。直径5oにも満たない色テープの切れ端がここまで大きな変化をもたらす。正直なところ、それは私たちにとっても一つの驚異です。それは人間の体のもつ能力に対する驚異であるともいえますが。
 色と経絡の関係は以下の表のようになります。

 肝経・胆経
 心経・小腸経
 脾経・胃経
 肺経・大腸経
 腎経・膀胱経
 心包経・三焦経 ピンク

自分でからだを調整することが大切 − 筋診断体操
 もう一つ、ぜひ御紹介したいものがあります。それは筋診断体操とも言うべきもので、体操によって診断し体操によって経絡調整をしていこうというものです。これこそ一般の方々の、しかも自己治療の方法として画期的なものだろうと秘かに私が自負しているものです。さて冒頭ほとんどの人が健康不安にさいなまれている、と言いました。そしていわゆる不定愁訴をもつ人が非常に多い。この不定愁訴がなかなか治らない。病院に行って検査をしても原因がはっきりしない。なぜならそれは病気以前の状態だからです。そういう人たちが鍼灸・マッサージの門をたたくようになる。私のところにも数多く見えます。そうした患者さんをみながら私はいつも思います。ほんとうは家庭で治せるのに。こんな患者さんには治療だけではなく自分でやれる方法をあわせて指導していきます。
 医療とは本来自己治療を基本とすべきなのです。それでも治せないとき専門家に相談すればいい。私たちは西洋治療を否定するような立場はいっさいとりません。病院嫌いの患者さんに対しても、必要とあれば躊躇なく病院に行くように指示しています。ただこれと同時に経絡治療も含めて自己治療できる能力も育てていくべきだと思います。そうした能力を私たちは間違いなく持っています。そしてかつてはそれが日常の知恵として十分その力を発揮していました。そうした知恵を見失い、自分のいのちに対する自信を失い、人間として「弱く」なっている。それが現在の私たちなのではないでしょうか。そして次から次へ健康法が生まれ、健康産業も安泰ということになります。
 ではどうやって自信を回復していくか。まず感覚を取り戻すことが大切です。自分の中のアンバランスに気づいていけるように。そうでなければ、多くの人がそうであるようにどうにもならなくなってから治療の門をたたくことになり、治療までに大変な回り道をしなければならなくなります。
 では“感覚”をどう取り戻すか。それは「いい状態」の体験を通して以外あり得ません。そしていい状態を実現するためには「いい方法」を身につけなければならない。異常をどのように感覚し、それにどう対処するか   これは日常のなかでじっくり取り組むべき大きな課題と言っていいでしょう。いわば日常という「修行」です。


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